サムスンの micro SDカード(PRO Plus 2021)で表記の転送速度が出ない場合の対処方法。
2023.05.23更新
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先日「サムスンの新型SDカードはオススメだよ!」という内容のエントリーを書きました。
関連記事:新発売のサムスン micro SDカード(Samsung PRO Plus & EVO Plus)をレビュー!
紹介したSDカード(Samsung PRO Plus 256GB)は、
- UHS-I 規格
- 読み出し:160MB/s
- 書き込み:120MB/s
と、非常に高速なモデルです。
実際に転送速度の検証テストを行ったところ、表記通りの数値が出たので非常に満足していました。
関連記事:サムスンの 新型micro SDカード(PRO Plus 2021)は、アダプターを使っても転送速度が変わらないのか?
しかし、実際に使い始めたところ「思ったより転送速度が出ていない・・・」という問題が発生したため、今回は色々調べた内容をまとめたものです。
先に結論を書いておきます。
この記事の結論
Samsung PRO Plus(2021年版)の性能をフルに活かしたい場合は「UHS-I DDR200」という規格に対応しているSDカードリーダーが必要になる。
おすすめの「UHS-I DDR200」対応のSDカードリーダーは Anker USB-C PowerExpand 2-in-1 SD 4.0 カードリーダー。
「UHS-I DDR200」に対応していないSDカードリーダーを使うと、読み出し速度も、書き込み速度も、100MB/s程度。表記通りの転送速度が出ないため注意!
では、詳細をどうぞ。
発端:「表記の転送速度が出ない」問題
今回の問題の発端は 転送速度の検証で使ったAnkerのSDカードリーダー ではなく、別のSDカードリーダーを使ったときに起きました。
このとき使ったSDカードリーダーは Satechi製。
私が持ち歩き用としてガジェットポーチに入れているSDカードリーダーです。
これは YouTuberの高澤けーすけさん が動画でオススメしているやつ。
商品概要としては、
- UHS-II 対応!
- micro SD / SD の2スロット!
- デザインがカッコイイ!
と、持っているだけでテンションが上がるアイテムです。
で、SatechiのSDカードリーダー を使ったとき、体感的に「あれ? この前よりも遅く感じるな・・・」と思い、なんとなく転送速度テストを行ってみたところ今回の問題が発覚しました。
そのときの転送速度テストの結果がコレ。
micro SDカードでの転送速度テスト
SDカードアダプターを使ったときの転送速度テスト
micro SD のときも、SDカードアダプターを使ったときも、どちらも表記の転送速度を下回っています。
問題発生時のパニックツイート
そうなのです、AnkerのSDカードリーダー を使ったときは表記に近い結果が出るのに、SatechiのSDカードリーダー を使うと転送速度が下がってしまうという状況に陥りました。
考えられる原因としては・・・、
「SatechiのSDカードリーダーについて、Amazon商品紹介ページに『対応OS:Mac』と書いてあるので、もしかしてWindows機ではポテンシャルが発揮できないのでは・・・?」
くらい。
※結局、この推測は違いました。
しかし、悪夢は続くのです。
検証:他のSDカードリーダーでも転送速度テストを行う
というワケで、家にあるSDカードリーダーを全て掻き集め、全部転送速度テストを行うことにしました。
補足事項
前回の転送速度テストで「SDカードアダプターを使っても転送速度は落ちない」と分かりましたので、今回はSDカードアダプターを使ってのテストになります。
転送速度の検証に使ったパソコン
パソコンは、前回に引き続き「HP Spectre x360 14(2020年モデル・Windows 11)」で検証しました。
先日、内蔵SSDを換装してパワーアップしたコレです。
関連記事:「HP Spectre x360 14」のM.2 SSDを換装する方法(256GB→1TB)
SDカードリーダーは、このパソコンの「USB Type-C(40Gbps)Thunderbolt4対応端子」に挿して検証しています。
転送速度の検証ソフトは「CrystalDiskMark8」。
1.SanDisk イメージメイトプロ
1つ目は「SanDisk イメージメイトプロ」。
商品概要
- UHS-II 対応
- micro SD / SD / CF の3サイズ
商品サイト
転送速度 テスト結果
2.ProGrade Digital(プログレードデジタル) ダブルスロットカードリーダー
2つ目は「ProGrade Digital(プログレードデジタル) ダブルスロットカードリーダー」。
私が持っているのはSDカードが2つ挿入できるモデルです。
商品概要
- UHS-II 対応
- SDカードサイズの2スロット
商品サイト
転送速度 テスト結果
3.Satechi Type-C アルミニウム UHS-II Micro/SDカードリーダー
3つ目は「Satechi Type-C アルミニウム UHS-II Micro/SDカードリーダー」。
今回の問題の発端となったSDカードリーダー。
デザインがカッコイイ。
商品概要
- UHS-II 対応
- micro SD / SDカード の2サイズ
商品サイト
転送速度 テスト結果
4.UGREEN SDカードリーダー
4つ目は「UGREEN SDカードリーダー」。USB2.0ポートが1つ付属している珍しいタイプ。
商品概要
- UHS-I 対応
- micro SD / SDカード の2サイズ
- USB2.0ポート有り
商品サイト
転送速度 テスト結果
5.Anker USB-C PowerExpand 2-in-1 SDカードリーダー
5つ目は「Anker USB-C PowerExpand 2-in-1 SDカードリーダー」。
商品概要
- UHS-II 対応
- micro SD / SDカード の2サイズ
商品サイト
転送速度 テスト結果
転送速度テスト 結果まとめ
SDカードリーダーの転送速度テスト結果は以下の通りです。
補足
分かりやすいように「CrystalDiskMark8」の「SEQ1M Q8T1(連続したデータの読み出し、書き込み)」の部分を抽出しました。
SDカード リーダー | 読み出し速度 | 書き込み速度 |
SanDisk | 95.57MB/s | 82.80MB/s |
ProGrade | 97.87MB/s | 85.67MB/s |
Satechi | 97.48MB/s | 84.90MB/s |
UGREEN | 96.32MB/s | 85.75MB/s |
Anker | 159.85MB/s | 119.39MB/s |
結果としては、
AnkerのSDカードリーダーだけが抜群に速かった!
というものでした。
えっ、なんで・・・?
調査:なぜAnkerのSDカードリーダーだけ高速なのか?
今回のテスト結果ですが、正直 ProGradeのSDカードリーダー が最もスペックの良いものだと思っていたのでショックが隠せません。
だって、ProGradeのSDカードリーダー、10,000円ちょっとする、高級SDカードリーダーなんだよ!?
Anker SDカードリーダーの3倍くらいの価格だからね。
ProGradeはプロも使っているらしいんだよ!?
逆にAnkerのSDカードリーダーが3,500円ちょいなのに、UHS-IもUHS-IIも爆速という結果で、他のSDカードリーダーの立つ瀬がない。
ただ、UHS-IIに対応している、
- SanDisk
- ProGrade
- Satechi
の3つについては、UHS-II SDカードであればちゃんと転送速度が出ます。
試しに LexarのUHS-II(64GB)SDカード で試してみます。
【SanDisk】転送速度 テスト結果
【ProGrade】転送速度 テスト結果
【Satechi】転送速度 テスト結果
ちゃんと高速転送ができるんですよ・・・。
原因特定:UHS-I DDR200・・・?
なんとか原因を特定するために、
「Samsung PRO Plus 遅い」
などの検索キーワードで調べていたところ、こんな記事に辿り着きました。
この記事の中に、こんな説明が。
今回、UHS-I対応のmicroSDカードでありながら PRO Plus で最大160MB/s、EVO Plusで最大130MB/sという速度が実現できるのは、DDR200に対応したカードリーダーを使用した場合のみであり、DDR200非対応の環境(つまりは、一般的なカードリーダー)では、100MB/s程度の実効速度が上限となる。
参照:ASCII
この解説を読んで「あっ!!」ってなりました
で、慌てて「UHS-I SDカードの最大転送速度」を調べてみたところ・・・、
UHS-Iの最大転送速度は
104MB/s。
参照:SDメモリーカード – Wikipedia
・・・と、無事に問題が解決。
つまり、
- Anker以外のSDカードリーダーも、ちゃんとUHS-I規格の最大転送速度(104MB/s)に近い数値は出ていた。
- たまたま持っていたAnkerのSDカードリーダーが「UHS-I DDR200」に対応していた。
- 偶然、そのAnkerのSDカードリーダーで転送速度検証を行ってしまったため「読み出し160MB/s、書き込み120MB/s」という結果に大満足して浮かれていた。
・・・ということです。
「DDR200」という規格とは?
ちなみに「DDR200」とはこのような規格でした。
「DDR200」とは?
DDR SDRAMのチップの規格で、フロントサイドバス(FSB)のベースクロックが最大100MHzの規格である。 DDRは、1クロックで2回のデータ転送が行えるため、ベースクロック100MHzの2倍となる200MHz相当のデータ転送速度を得ることができる。
参照:weblio
「Samsung PRO Plus」の仕様について
Samsung PRO Plus ですが、
- UHS-I 規格のSDカード
- 読み出し:160MB/s
- 書き込み:120MB/s
この情報の段階で
「ん? UHS-I規格の最大転送速度を上回っているけど、どういうこと?」
・・・って引っかからないといけなかったワケですね。
最大転送速度 : 読出し 160MB/s、書込み 120MB/s
※対応リーダー使用時
・・・と書いてあり、その対応リーダーについては「高速伝送(DDR200対応)カードリーダー」と注釈されていました。
で、「高速伝送対応のカードリーダーについては サイト をご覧下さい」とも書いてあります。
そこには「動作○(高速転送)」としか書いてないので、規格などについてはちょっと分かりづらいかな・・・。
今回はとても勉強になりました。
結論:AnkerのSDカードリーダー、凄い。
改めまして、今回の学びの共有です。
Anker、凄い。
結論
Samsung PRO Plus 256GB の性能をフルに活かしたい場合は「UHS-I DDR200」という規格に対応しているSDカードリーダーが必要になる。
「UHS-I DDR200」に対応していないSDカードリーダーを使うと、読み出し速度も、書き込み速度も、100MB/s程度になり、表記通りの転送速度が出ない。
Anker、凄いよ。
補足:Anker以外の「UHS-I DDR200」に対応したSDカードリーダーは?
これについては調べてもあまり情報が無かったのですが、下記の2機種については「UHS-I DDR200」に対応しているようです。
ただ、どちらもUSB-A端子(USB 3.1)で、UHS-IIには対応していません。
これからの中長期的な運用を考えると、
- UHS-I DDR200 対応
- UHS-II 対応
- micro SD / SDカード の2サイズ
- USB-C端子
・・・という AnkerのSDカードリーダー の方が使い勝手がいいのではないかと思います。
【追記】「UHS-I DDR200」対応のマルチハブを発見!
ノートパソコンの端子を拡張させるためのマルチハブで「UHS-I DDR200」に対応したものを発見しました!
DockCase 9-in-1 USB-C HUB というアイテムです!
9-in-1(9つのポートを有したマルチハブ)で、SD/micro SD UHS-II・同時読み込みにも対応。
読み出し速度も、書き込み速度も、Samsung PRO Plus の最大値まで引き出せています。
SDカードリーダー以外にも、USB-A端子やHDMI、有線LANポートなども有り、これ1個あれば端子が少ないノートパソコンをパワーアップさせることができるマルチハブです。
しかも、めちゃくちゃカッコイイよ!
補足2:SanDiskのSDカードにもご注意下さい。
ちなみに、SandiskのSDカードにもUHS-Iなのに最大転送速度(104MB/s)以上の数値が書いてあります。
これは「SanDiskのSDカードリーダーを使ったら」という条件付きです。
これはね、私、知っていたんだ・・・。
参考までに、SanDisk Extreme(64GB)を SanDisk イメージメイトプロ で転送速度テストをしてみました。
こちらもUHS-Iの「104MB/s」の壁を突破しています。
【SanDisk】転送速度 テスト結果
SanDiskのUHS-I SDカードを使っている方、SanDisk イメージメイトプロ は必須アイテムだと思います。
今回紹介したアイテム
では!